コロナワクチン接種直後の死亡例について

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先日、愛知県でコロナワクチン接種した女性が、直後に亡くなられたるというニュースがありました。いったい現場で何が起きたのか。当日の状況をまとめました。

事故の概要

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  • 14時18分
    コロナワクチン接種

    オミクロン株BA.5に対応したワクチン接種(4回目)

  • 14時25分

    咳嗽出現し座り込んでしまったため車いすで救護室へ移送

  • 14時28分

    顔面蒼白、呼吸促拍あり
    途切れ途切れではあるが発語可能
    SpO2 60%台に低下し、酸素5L/minで投与開始

  • 14時30分

    嘔気出現、ピンク色の泡沫上喀痰排出

  • 14時34分

    意識レベル低下
    総頚A触れなかったためbystander CPR開始
    静脈ルート確保試みるが、確保できず断念

  • 14時40分

    心拍・自発呼吸再開

  • 14時42分

    再度心肺停止

  • 14時55分

    3次救急病院に救急搬送

  • 15時15分

    病院到着

  • 15時30分

    死亡確認
    死亡診断書での死因は急性心不全

 ニュースを読んだだけでも問題点がいくつか挙げられます。その場の詳しい状況はわからないので、できるだけ推測はせずに一つ一つ解説していきます。

基礎疾患について

 厚生労働省から既に報告がありますが、本患者の場合は基礎疾患として高血圧症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、高度肥満があったことが発表されています。これらの疾患だけではワクチン接種をしてはいけない理由には該当しません。

 しかし、報告の中では接種前に呼吸苦症状の訴えがあり、泡沫状の喀痰排出もあったことから心不全が背景にあったのではないでしょうか。そのため、診断書での死因でも「急性心不全」と記載があります。

 また、亡くなった方の夫が対応した医師との会話をボイスレコーダー録音しており、公開されています。その内容からも血痰の排出があった(CPRの前後いずれかは録音からは不明)ため、肺胞出血を疑ったとの話がありました。

アナフィラキシーの可能性について

 厚労省の報告書には死因については以下のように記載されています。

不明(報告医から、発症経過からコロナワクチンによる電撃的なアナフィラキシー反応の印象があるが、最終的な診断は不詳である。)

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001011732.pdf

 アナフィラキシーショックを疑う要素はあるので、報告書を見る限り個人的見解としてはアドレナリン筋注はしてもよかったのではないかなと考えます。

 また、呼吸苦の訴えのあとにSpO2低下しており、気管挿管をトライしたかどうかは気になります。実際にはobesityがあったり、鎮静ルートが確保できなかった点から挿管困難であったのかもしれません。救急カートが用意されていても急速な経過で、初見スタッフばかりの状況で、しかもawakeで喉頭浮腫もあるかもしれない中での気管挿管は現実的には不可能に近いでしょう。

対応医師は本当に何もしていなかったのか?

 第一報では夫から「見殺しにした」との発言がありました。当事者ですので、お気持ちは痛いほどよくわかります。自分もこの発言を聞いて、何も対応しないのは大問題だと考えていました。

 しかし、当日の状況を整理すると「見殺し」というのはやや誇張されている印象を受けます。厚労省の報告書の通りであれば心停止後の心肺蘇生の対応はなされていますし、体調変化が起きてから救護室への誘導は速やかでした。

 ただし、原因は明らかでないにしてもやはりアナフィラキシーショックを疑って初期対応を行ってもよかったのではないかと思います。そのうえで心肺停止になった場合は他の原因も考慮しますが、疑わしきものは早めに対応しておくべきでしょう。

 厚労省からアナフィラキシーショックへの対応について再度通達が出ています。確認しておきましょう。

改めて急変時の対応など自信のない方は再確認しておきましょう。何事も常に万が一の状況を想定した準備が大切です。

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