コロナ第7波で医療体制はどう変わる?

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7月上旬から徐々に増えていたコロナ感染者数が、中旬以降は急激に増加しています。

ニュースでは感染者数過去最高、東京で3万人超えなどの見出しが目に入ります。

 連日、コロナ感染者数は増加しており既に第7波に突入している状況です。今の状況が続いた場合に医師にとってどのような変化が想定されるか簡潔にまとめていきます。

発熱外来のパンク

 第6波の時にもありましたが、有症状者を主に担当する「発熱外来」での受け入れが困難になると想定されます。発熱者はコンテナ等で一時的な隔離を行った上で抗原検査を実施して、陰性であれば院内受診、陽性であれば自宅療養という流れが一般的です。

 病院のキャパシティにもよりますが、発熱外来に医師を複数人置くことが難しいクリニック・病院も多くあるため、有症状の患者全員の受診は現実的に困難と考えられます。

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症状があっても、検査を受けられないケースも出てきている。高校生の長男が陽性となって自宅待機していた大阪府吹田市の女性(50)は、数日後に自身も発症。徒歩や自転車で行ける範囲の複数の医療機関に電話で検査の申し込みをしたが、全て「予約でいっぱい」と断られたという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ce057a62335030e0042ed1e1fd07e119ca6a6d55

発熱外来には有症状の多くの方が来院しますが、トリアージなどはされず全員抗原検査を行うため医療関係者が不足してしまっている状況です。熱中症が疑わしい場合でも陰性が確認できなければ院内に入れないという病院もあります。軽症者は自身で抗原検査キットを購入して、自宅待機されている方もいますが・・・。

一般外来、救急外来の枠を減らしたり、オペ件数も減らすなど、通常の医療体制にも徐々に影響が出始めてきています。第6波の時はなんとか持ちこたえていたのですが、今回は患者数の増加ペースが早すぎますね。


医療関係者の感染増加

 医師・看護師などがコロナ感染により、勤務可能な職員数がさらに減ってしまうことも問題となっています。ワクチン接種で感染自体を抑えられるわけではありませんが、3回目のワクチン接種から時間が経過していることもあり、60歳未満の医療者の中でも4回目のワクチン接種を希望している方は多いです。

 そんな中、昨日7月22日に医療従事者向けに4回目のコロナワクチン接種が開始となり、一部の自治体での接種が開始されました。

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 政府は22日、新型コロナウイルスのワクチン接種について、4回目接種を医療従事者や高齢者施設の職員などにも拡大することを決めました。これを受け、港区はすぐに体制を整え、決定当日から4回目の接種を始めました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/025b01847143e659dd41533a7495270cb3b1a7ae

当日から即開始するとは、非常にスピーディーな対応で驚きました

 病院であれば急遽感染による欠員が出たとしても、代わりの医師・看護師を補うことが可能ですが、診療所やクリニックのようなところで欠員が出てしまうと、スポットで働ける職員を探したり、見つからなければ休診しなければならない場合もあるでしょう。一般の方以上に感染者との接触の機会があるため十分に気をつけて診療に望むしかないですね。

ホテル療養者の増加

新規陽性者数の推移

新規感染者が直近半月で急激に増加しており、過去最高感染者数を更新しています。

重症者数の推移

一方、入院して高度医療を要する重症者数については現時点ではあまり増加していません。

 現在流行しているオミクロン株 BA.5系統については入院・重症化リスクは少なく見えるかもしれませんが、油断はできません。

Both Omicron waves had lower risk of severe outcomes than previous waves. Prior infection (aHR 0.29, 95% CI 0.24; 0.36) and vaccination (aHR 0.17; 95% CI 0.07; 0.40 for boosted vs. no vaccine) were protective.

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.06.28.22276983v2

 Both Omicron=BA.4/BA.5とBA.1(第6波流行時の変異株)を指していますが、過去のδ株に比べるとリスクは重症化リスクは低いものの、BA.5は第6波とほぼ同等の重症化リスクが予想されます。陽性者数に追随して今後は入院患者数も増えていく可能性がありますが、病院だけでベッド数の確保は現実的に不可能です。

 そのため、有症状者で基礎疾患のある方はホテル療養での対応となるでしょう。各都道府県ではビジネスホテルと契約し、一棟まるまる借り上げてコロナ患者の療養を行っています。私も時折ホテル療養のスポットバイトに行きますが、人数増加に伴い人手が足りないため、最近は勤務頻度も増えています。今後、秋にかけては更に増加していくことでしょう。

自身の健康に十分注意しながら、コロナ第7波をなんとか乗り越えていきましょう

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