フリーランス医になって半年が経ちました

コラム

大学病院の医局を辞め 、フリーランス医に移行して半年が経ちました。今後、移行を検討している方にメリット、デメリットを紹介します。

はじめに

 フリーランス医に移行する人の多くは「医局を辞めたい!」「今の職場が合わない」という方が多いですが、自分はそういったことはあまり感じていませんでした。子供が生まれて自由な働き方に移行したかった事と、地元へ戻るのに適したタイミングが巡ってきたため、フリーランス医に移行しました。

 転職までの準備期間は半年以上あったため計画立てて、転職準備ができました。詳しくは過去記事をご覧ください。

フリーランス医のメリット

働き方次第で収入が増やせる

 大学病院勤務時は病院からの年収が700万円前後、そこに週3回程度の外勤が加わってだいたい年間で1,500万円前後の収入でした。月換算で月収125万円なので、手取りで100万円を下回る程度です。

 フリーランスに移行してまだ半年なので年収は未確定ですが、月収ベースで1.5倍以上に収入は増えています。地域にもよりますが、単価が高い案件が多いことや、当直代が上乗せされている点が収入アップに貢献しています。もっとアクティブに働けば内科医でも年収3,000万円程度までは伸ばせるでしょう。

勤務時間が固定

 契約にもよりますが、基本的に時間外勤務がありません。もちろん、緊急対応が必要な症例があれば時間延長で勤務しますが、その場合も30分単位で追加分が支払われる場合がほとんどです。そのため、17時までの勤務の後に18時から他病院での当直等のスケジュールを組むことも可能です。

 ライフワークバランスを重視する女性の場合は、子供の送迎などの対応ができる点からもフリーランスの働き方は選択肢のひとつになるでしょう。大学病院勤務の場合は産前産後は大学院に行きながら、病棟対応をフリーにしてもらって働く方法もありますので、どちらがいいか自身のワークスタイルに合わせて決めてみてください。

当直を自由に入れられる

 大学病院勤務時は当番制だったので、月に数回当直日がありました。ある程度の自由はあるものの、他の医師が都合が悪い日は入らざるを得ない日もありました。当直業務は好きなので、今も継続していますが、月に1~6回で自分の都合に合わせて調整できるようになったのは大きいです。もちろん、当直を全くしない働き方も可能です。

平日に休みを作ることができる

 常勤でも研究日という形で平日に休日を設けることはできますが、自分は大学で週5日勤務だったので平日は休みがありませんでした。有給休暇は形式上はありましたが、自分の専門外来の曜日やカンファレンス、外勤、当直など様々な要因で自由には取りにくかった現実があります。実際に退職時も20日以上の有給休暇を消費できませんでした。

 フリーランスになってからは平日に休みを作れるようになって歯科医に数年ぶりに受診できました!ほんの小さなことですが、実はこれが1番嬉しいかったことのひとつかもしれません。毎週平日に休みを入れているわけではなく、予定がなければ直前でもスポットバイトを入れられるのは助かりますね。

フリーランス医のデメリット

都道府県医師会に入会する際の費用が増える

 医師会入会年会費などの費用が通常以上にかかる場合があります。都道府県により異なりますので、ぜひ確認してみてください。開業医だと入っていなければデメリットは大きいかもしれませんが、フリーランスの場合はあまり困ることはないかもしれません。難病指定医などは条件満たしていれば更新は問題なくできますし、産業医講習会も入会が必須条件ではありません。

年金、健康保険料、社会保険料の労使折半がなくなる

 フリーランスになる時に1番気になるところですよね。年金は厚生年金から国民年金に移行しなければいけませんし、全額自己負担となります。

 健康保険については任意継続を申請すれば家族を扶養に入れることができます。国民健康保険料と比較して安くなる方を選びましょう。任意継続期間や国民健康保険では傷病手当金出産一時金が受け取れないことも覚えておきましょう。

 フリーランスに移行して収入が増える場合には、あまり気にする必要はないと思います。将来受け取る年金が厚生年金の上乗せが減るため、現時点で資産運用をしておくと安心です。

学会参加費・交通費が自腹

 学会への参加費などが全額自腹となる点も注意が必要です。フリーランスになっても4つほど学会には所属していますが、単位取得も必要であるため総会には出席するようにしています。これらの費用が自腹になるため、自分の場合は年間15万円程度は出費が増えています。

研究、論文、症例などの学会発表ができない

  逆にこれをメリットと考える人もいそうですが、フリーランスで研究したり論文書いてる人はいないですね。研究を続けたい、希少な症例をどんどん発表したい人は当然フリーランスは向いていません。知り合いではフリーランスで週に1回大学の研究室に通っている医師もいるのですが、珍しいパターンです。

専門医の取得が困難になる

 認定医はフリーランスに移行しても取得できるものがありますが、専門医は基本的に取得できないと考えておきましょう。大学病院、市中病院などであらかじめ取得してからフリーランスに移行するといいです。ただ、認定医・専門医の資格があったからと言って給与がアップするかというと実はそうでもないです。むしろ内視鏡検査や気管挿管、真皮縫合ができる人の方が単回給与はアップします。資格よりスキル重視といったところです。

フリーランス医はスケジュール管理が最重要

今までは手帳も持たずにガバガバなスケジュール管理でしたが、フリーランスになってからは2か月先までスケジュールを常にチェックして動くようになりました。

アプリでスケジュール管理

 定期非常勤とスポットバイトを組み合わせて働いていますが、不規則な働き方なのでバイトを入れた日は確実に忘れないようにメモしておく必要があります。紙の手帳ではデバイス間では同期ができないため、「TimeTree」「シフト手帳Pro」という2つのアプリで管理しています。どちらも使い勝手がいいですが、特長が異なるため併用をオススメします。

TimeTree

TimeTree [タイムツリー]

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 家族間でのスケジュール共有に役立つアプリです。有名なのですでに利用している方も多いことでしょう。他のスケジュールと兼ね合いを考えて、休日をいつ作るかということを決めやすいです。PCからもスマホからもチェックできて、無料で十分に活用できます。

シフト手帳Pro

シフト手帳 Pro

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 こちらは毎月の収入を見ながらスケジュールを管理できます。フリーランスの場合は月毎の祝日、年末年始の休日で給与が変動します。そのため、一目で月ごとの給与予測ができるこのアプリは重宝しています。ウィジェット機能も利用出来て便利です。欠点は日給10万円を超える給与が入力できないところですが、今後のアップデートで改善されることを期待しています。

メールを迅速にチェックする

 バイト探しや連絡などでは迅速にメールには対応できた方がいいため、Sparkというメーラーを使ています。メールを重要度に分けてチェックできるためオススメです。

Spark Mail – スマートなメールアプリ

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フリーランスに移行すると責任や各種負担が大きくなる一方、自由な時間が増えるため自分で様々な新しいことにチャレンジできるチャンスが生まれます。うまく将来設計をして適した働き方を目指していきましょう。

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