労働衛生コンサルタント試験を受験予定の方向けの記事です。受験者も少ないため、どの参考書を勉強すればいいかわからない方も多いはず。このたび筆記試験に合格したので、試験までのスケジュールや使用した書籍を紹介します。
筆記試験概要
- 10月中旬に全国7か所の会場で実施
- 筆記試験は労働衛生一般(マーク式)、労働衛生関係法令(マーク式)、健康管理(記述式)の3科目に分けられる
- 医師免許があれば労働衛生一般、健康管理は免除可能
- 厚生労働大臣が指定する講習を修了していれば、筆記試験は全て免除可能
- 全体で正答率60%が合格ライン
- 複数科目受験ではどれか1科目でも正答率40%を下回ると不合格
医師であれば筆記試験は免除をすれば労働衛生関係法令のみで受験可能です。しかし、ここに落とし穴があります。労働衛生関係法令は全15問ですが、非常に難しい問題も含まれており細かなところを問われます。
自分が受験した時には関係法令が合格点に届かなくても一般問題で取り返せる可能性を考え、記述式の健康管理のみ免除して2科目を受験することにしました。
労働衛生一般はシンプルな問題が多いことと、医師国家試験の必修レベルの難易度の低い問題も出題されます。実際に今年度の衛生一般の試験で出題された問題を紹介します。
消化器の生理機能に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)胃の粘膜層から分泌される胃液には塩酸が含まれている
(2)肝臓では、アミノ酸から体内で必要な蛋白質が合成される
(3)胆汁は胆のうで作られて貯蔵され、食物摂取時に分泌される
(4)膵臓で作られる膵液には、脂肪を分解する酵素が含まれている
(5)大腸の蠕動運動は交感神経により抑制され、副交感神経により促進される
胆汁は肝細胞で生成されるため、(3)が誤り
加齢による機能の変化に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)筋力の指標である握力は、体力の他の要素に比べてピークに達する年齢が遅い
(2)男性においても更年期は存在し、テストステロン分泌が低下する時期をいう
(3)視覚における調節力は、25歳頃から65歳頃まで徐々に低下を続ける
(4)老人性難聴は伝音性難聴であり、高音域の聴力から低下することが特徴である
(5)加齢による内耳の機能の低下に伴い、平衡感覚は低下する
老人性難聴は感音性難聴であるため、(4)が誤り
医師にとっては簡単な問題が衛生一般では出題されます。もちろん、取り上げた問題以外は難易度はそれなりに高いですが、口述試験に向けた基礎知識の獲得に役立ちます。あえて免除を利用せずに受験するという手もありだと思います。ただし、当然ながら勉強量は増えることになります。自分の勉強時間と相談して受験科目を決めましょう。
試験までの勉強スケジュール
この試験の受験前に他の試験を受けていたため、5週間前から試験勉強を始めました。平日2時間程度、当直の空き時間や休日は+αで勉強したので100時間程度は勉強時間を確保できました。
衛生管理者向けの本をサラッと読む
最初は本当に何もわからないところから始めるので、過去問を1年分やろうと思いました。しかし、基本的な知識がないと理解につながらずあまり意味がありませんでした。そのため、衛生管理者試験の対策本をサラッと読むことにしました。
出題分野を見ると労働衛生、関係法令、労働生理にわかれてます。このうち、労働生理は読み飛ばしてしまってかまいません。医師なら一部を除き知っている内容がほとんどなので、あえて勉強する必要はないからです。小問もついていますが、10時間ほどあれば読み終わります。
より詳しく紹介している書籍を2回読む
この1冊でなんとなく全体像を把握した後で、少し内容を詳しく掘り下げている参考書として「わかるわかる! 第一種衛生管理者試験」を購入しました。試験問題を見てみると数値が問われる問題が多いんですよね。保存期間、濃度、頻度など・・・。こればかりは暗記するしかないのですが、この書籍の該当部分に青マーカーで線を引きながら読んで、2回目に読むときに赤シートで隠して解く方法が、アウトプットもできて効率がよかったです。
この本は当日も持ち込みましたが、一番役に立っています。書籍に書いてある小問はあまり解かずに青マーカーを引いた部分を直前に読み直したりして、その部分が出題されたりしたので試験直前まで悪あがきは大事なのかもしれません。
過去問をひたすら解く
ここまでである程度知識がついたと感じたのですが、残り2週間余りとなっていたため過去問題に取り組むことにしました。問題の難易度は高いですが、やはり過去問の類題は散見されたため6年分解きました。
過去問題をやると上記書籍では7割程度はカバーできますが、不足している部分がある事に気づきます。そのため、過去問で出題されて本に記載がなかった部分を余白に書いて追記しながら勉強しました。
また、「わかるわかる~」では情報がやや古く最新情報のアップデートがなされていないため労働衛生のしおりを購入しました。巻頭カラーページのグラフから毎年出題されているため、必ず目を通しておきましょう。
厚生労働省のサイトやPDFをチェック
よく出題される分野については厚生労働省のサイトやPDFを確認しておくことをお勧めします。細かい点を問われることが多いのですが、1度目を通しておけばなんとなく覚えられると思います。択一式の試験なので、うっすらとでも覚えておくことが重要ですね。特に重要な項目について下記に掲載します。
最終手段はゴロで暗記
何度やっても細かな数値は覚えにくかったりします。その他にも聞き覚えのない有機溶剤、特定化学物質などがあるので、最後はゴロを自分で作ってむりやり暗記しました。思いの外、試験本番で役立ったので案外バカにできません。時間があれば今後紹介するかもしれません。
筆記試験結果
先日試験を東京会場であるベルサール渋谷ファーストで受けてきました。やはり午前の衛生一般は免除をした方が多いためか試験開始時には受験者は6割程度しかいませんでした。午後の労働衛生関係法令の受験時間になると残りの受験者の方が入室するような流れでした。
試験がおわり自己採点をしたところ関係法令は 10/15(66%)、衛生一般は21/30(70%)とぎりぎりですが合格することが出来ました!これなら法令のみの受験でもよかったのではとも思いますが、あと2問ミスしていたら不合格になっていたことを考えると保険として受ける意味はあったのかなと思います。
来年1月下旬に口述試験が行われるため、少し休憩してからエンジンをかけて頑張っていこうと思います!質問などあればコメントから投稿していただければ空き時間に返信します。
労コンを今年受験される方、口述試験に向けて頑張りましょう!
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